じりじりと皮膚に浸透してくる光線がまるで数えられるほどの炎天の下,密度の高いねっとりとした風が露出した肌の産毛一本一本にまとわりつく.笑い声,怒鳴り声,港市場の雑踏と喧騒とした雰囲気.何処からともなく流れてくるラテン系のノリのいいリズム.それに軽快な汽船の音がごちゃごちゃに混ざって,その圧倒的な人間のパワーが無防備だったボクの心の中に一気にずかずかと土足であがりこんでくる.
「そんなものは知ったことか」と静かに悠々と横たわるネグロ河.その水はコーヒーのように黒く,ボクをあふれ出た人間のパワーを吸い取っているかのようだ.人の営みを陽とするならネグロの水は陰といえるのだろうか?ネグロの静寂が不偏のものなら人の営みが陰であると言えるのかもしれない...
河で生活をするこれからの5日間.そうだ,釣をしよう.
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