ボクのビカクシダ栽培経験の中からちょっとしたコツを教えちゃいます.これを読んでみなさんもバシバシ ビカクシダを格好よくしてあげてください.

[置き場所]

・葉っぱを美しいクリームメロン色にするためには

表面に星状毛が密生させるような種では,星状毛がきれいにほどよく密生すると葉は美しい銀緑色になるのですが,そのためには適切な日照を与える必要があります.ウィリンキーなら「通風が良く湿度が保たれる場所で,3,4時間ほど朝の直射日光に当ててあげる」,ビーチーなら「終日直射日光によくあてる」ことです.日照の量は次に出てくる新芽の星状毛の密度にすぐに反映しますから,いろいろ試して一番良い日照量を見つけてみてはいかがでしょうか.

・胞子をつけさせるためには

株が成熟していなければ胞子がつかないことはいうまでもありませんが,成熟した株でもなかなか胞子がつかないということはありませんか?そのような株は日照が十分に得られていないことが考えられます.もっとたくさんの日光が当たる場所に移してあげましょう.きっと後からでてきた胞子葉の裏側にはおおきな胞子嚢パッチがつきますよ.


[冬越し]

・ウィリンキーの安全な冬越し

いつもグショグショではいけませんが,ウィリンキーは根元の水分を好みます.断水して冬越しさせてもよいのですが,15度以上を保ち根元の水分を確保して管理した方が根や芽へのダメージが少なく,春の目覚めも早いです.

・屋外で冬越し

関東地方南部以南ではビフルカツムやビーチーなどの耐寒性のある種類を屋外で越冬させることも不可能ではありません. でも,外のどこに置いてもOKというわけではありません.日光のよくあたる風が直接あたらないような場所.南向きの縁側の日溜りのような場所なら大丈夫. 施肥はせずに葉がしおれたら潅水をし,霜に当てたり凍らせたりしなければ屋外越冬も可能です.
といっても,無理をして屋外越冬をさせる必要はありません!最低温度5度Cはあったほうがよいようです.


[潅水]

・新鮮な水が好きです

「根ぐされに気をつけてください」とよく聞きますが,それは「根元に水分が停滞しないようにしてください」と同じ意味です. 植え込みの種類や栽培環境によって状況は大きく変わってきますが, ヘゴ板やコルクなどにミズゴケなどで着けて通風のよい場所で栽培している場合は, 根もとの水分が不足しがちです.とくにビフルカツムやウィリンキーにはたっぷりと潅水してあげましょう.
プラ鉢に植える場合には水はけのよいもので植え込むようにしましょう.


[施肥]

・ビカクシダは肥食いです

ビカクシダは肥料に対してとてもよく反応します.しかも,生油粕などの強いものを与えても以外と平気な様子です.わざわざ貯水葉で落ち葉をかき集めるぐらいですからねぇ.かなり大食漢のようです.ただし施肥するとそれに応じてどんどん大きくなりますから,与える肥料の量は栽培スペースのことを考慮して決めてくださいね.

・微量元素も大切です

ヘゴ板などに着生させて栽培している場合は,潅水によって根元の養分や微量元素がいとも容易く流されてしまいます.自生状態においては,樹の幹を伝わる雨水,落ち葉などから常にそれらが補給されています.栽培下でも,メネデールや,ハイフレッシュ,ときには腐葉土などによって微量元素を補給することが大切です.



[病害虫]

・草体に傷をつけない

植え替えや葉が互いにこすれることによってできた傷に菌が侵入すると容易に腐ってしまいます.特に高温高湿度の時期や,草体が弱っていときは要注意です. → 写真

対策:風通しの良い場所に置くなどしてすみやかに乾燥させます.傷口だけではなく株を全体的に乾燥させた方がよいでしょう.

・薬剤は指示濃度よりも薄めて使用する

シダ類は薬害おこしやすいです.葉の先端が枯れこんだり,葉がねじれたり縮れたりします.→ 写真

対策:一度うけた薬害の回復は困難です.次回から注意しましょう.とくに新芽への散布には注意しましょう.

・カイガラムシが発生しやすい環境

夏の間は屋外で元気にしていたビカクシダも,冬に室内に取り込んだらカイガラムシが出てしまった.というのはよくあることです. どうやら,乾燥した環境で風通しが悪く葉の表面にほこりが積もるような環境だとカイガラムシが出やすそうです. カイガラムシを予防するには葉に霧吹きをするなどして湿度をたもち,葉がほこりで汚れたままにならないような環境作りや手入れが必要です.


[植替え・植え方]

・植え替えはタイミングよく行う

成長期であればいつでも植え替えを行うことができます.ただ貯水葉の展開期間は要注意です.植えかえる際に貯水葉に傷をつけたり,貯水葉の上から紐などで締め付けて傷ができたりするとそれが原因で腐敗が始まる場合があるからです(病害虫参照).植え替えは,貯水葉が出て間もないころか,貯水葉が茶色に変色してから行った方がよいでしょう.

・ヘゴなどに付けるときの注意

着生させる場合には十分な量の植込み材(たいたいはミズゴケ)を用いましょう.植込み材の量が足りないと,着生するための根をうまく伸ばせないだけでなく,繁殖することもできなくなってしまうからです(根の先端に不定芽が発生するから).では「ヘゴ板,丸太などに付けて数年後,株が繁殖して茂っている」様子を想像してみましょう.その想像の中ではどこまで株が繁殖していましたか?株を繁殖させたい範囲まで植込み材をつけておけば安心です.もちろん後から追加して付けることもできます(ボクは失敗しました).


[繁殖]

・極度の乾燥を避ける

ビフルカツム系のビカクシダは根の先端に不定芽を出すことで比較的容易に繁殖します. 存分に繁殖させるためには,「根を伸ばせる場所」と「子株が干からびないだけの水分」が必要です.



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