P.リドレイはボルネオ,スマトラ,マレー半島に分布するビカクシダです.自生地では樹冠付近の日当たりと通気が抜群に良い場所によく生育します.リドレイの特徴は,上方に5〜6回も細かく分岐しながら伸びるほんとうにシカの角に似た胞子葉と,半球状に丸まり,血管のように浮き上がった葉脈が目立つ貯水葉です.とても小型のビカクシダであるといわれることがありますが,国内の植物園や業者が保有する株をみるかぎり株の広がりが50cm四方を超えるものもあり,むしろ中型のビカクシダであると言えます. 普通,ビカクシダの貯水葉には貯水能力がありますが,リドレイの貯水葉はとても薄くて堅いため貯水能力はまったくありません(こうなると外套葉 Shield Fronds と呼ぶ方が正しいかもしれません).したがって,水分獲得のため貯水葉のなかに伸びるような根はなく,貯水葉の隙間に根を張るだけとなります.ではその根はどのように水分や養分を確保するのか? 貯水葉の血管のように浮き出た葉脈の裏側にはトンネルに似た空洞ができるのですが,その部分に次第に溜まる細かい落ち葉などの残がい物とそこに蓄えられる水分にたよることになるのです.栽培下では貯水葉のうしろに残がい物がたまるようなことはほとんどありませんから,急激な根の乾燥を防ぎ養分を提供するような工夫が必要となることがあります.このためリドレイを長期間に渡って栽培することは難しいとされています. ホント???----------------------------- リドレイは子株によっても増殖します.子株をつくる他のビカクシダでは根の先端にできる不定芽が子株となることが大いのですが,リドレイは茎が枝分かれしてその枝の先端にできる新しい芽が子株となります."繁殖"というよりは"増殖"ですね. 現地では乱獲により個体数が激減しており,自生株はほとんど見られなくなってしまったそうです.現在,ヨーロッパ,東南アジア,アメリカでは組織培養や実生による株がさかんに行われていて流通量も多くなってきています.山どりでなくても安全にリドレイが入手できるよう,今後も栽培と繁殖の技術向上が不可欠です.
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もちかえったその日は一晩中2時間ごとに殺虫剤抜き.洗面台にぬるま湯をはってそのなかにリドレイ君を漬したのです.それにもかかわらず部屋の中は臭いで充満. でも日毎にすこしづつ大きくなる新芽に介護の成果をかんじつつ... あぁ,ほんとにこれまでで一番手をかけたビカクです.もうすっかり情が移ってしまいました. |
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