マダガスカル島西南部,アフリカ大陸の東部に分布するビカクシダです.ちょっと見は P.bifurcatumに大変似ていますが,胞子葉の縁に切れ込みが入らずに丸い形になるのが大きな特徴でしょうか.また胞子葉はスリムで良く日に当てて育てると垂れ下がらずに上方にのびます.全体としてとても端整な姿で,作り込むとなかなかの見応えのあるものになります.
 産地別に,マダガスカルタイプ,アフリカタイプの2タイプがあるようです.マダガスカルタイプは葉が“緑色”で星状毛が多く,特に裏面は密生する星状毛のため白色になります.さらに,貯水葉の上のほうの縁はフリルします.アフリカタイプは葉が黄緑色で,星状毛はほとんど無くつやつや.マダガスカルタイプよりも胞子葉の幅が細いです.
 根の先端に不定芽を作ることで子株を盛んに出して繁殖します.また,休眠/成長のはっきりした環境を好むので,冬は室内に入れ休眠させればよいでしょう.性質も強く,サイズも比較的小さいのでお勧めの品種です. ※ Platycerium vassei = Platycerium alcicorne
(Reference: Platycerium Hobbyist's Handbook)

2001年5月9日 おみや

P.andinum
おみやげ
 P.アルシコルネ,お土産にもらいました! これを見て,ビカク3号が実はアルシコルネだったのだと確信できたのですが,両号をくらべるとこの個体は小柄で,星状毛がとても少ないです.話によると木陰にぶら下がっていたとのことで,栽培環境の違いのようですね.うちの環境で育つとどう変化ていくのかちょっと楽しみ.
 でも,このサイズいいですよね〜.これから将来もずっとこのサイズで居て欲しいです.で,アルシコルネはボカスカ増殖するし,けっこう小さいしでお部屋のアイテムにはうってつけの品種だと思うのです.遺伝子を増やすためにも今後に乞う御期待です.ふふ.

ヘゴ板につけました
 ビカク玉はとても良いのですが意外と場所食いです.なんせ球になるわけですからね(それ以前にビカクシダはデカイって).うちではスペースに貧しいのでビカク玉は止めようと.ヘゴ板付けにしてみました.


栽培のコツ(ヘゴ付けの場合
水やり

春〜秋の成長期)ヘゴにミズゴケで付けてある場合は上部のミズゴケではなく下部のミズゴケの状態を見ます.水が下がるので上の方のミズゴケが乾いても中はぐしょぐしょってこともあるからです.

下部のミズゴケ表面が乾いたらたっぷりと,表面だけでなく中まで十分に水が行き渡るように与えます.十分に水分を浸透させないと水不足で次第に葉(株)が小さくなってしまいます.また,水分が不足すると葉焼けしやすくなったりもします.

まだ枯死していない 緑色をした貯水葉同士の間に水が長時間滞まったままだと葉が腐ってくることがあります.株全体に頭から潅水したときはできるだけ風通しの良いところに置いたほうが良いでしょう.そんなに神経質になることはありませんけれども.

冬とかの休眠中)ミズゴケが十分に乾燥し,ビカクの貯水葉がしおれ始める直前に,ミズゴケが十分水を含むぐらいたっぷりと潅水しています.ちなみにうちは最低温度13,4度Cあります.

 

施肥

この種類はわりと肥食いです.成長期には1ヶ月1度ぐらいの頻度で発酵油粕団子のような固形肥料を与えます.薄めの液肥を回数多く与えるよりも,固形肥料を与えた方が機嫌が良いように思います.

固形肥料を与える場合は茶色の貯水葉の後に詰め込み,潅水のたびに肥料分が溶け出すようにしてあげます.液肥を与える場合は,3000〜4000倍に薄めたもの潅水代わり,もしくは潅水2,3回のうち1回ぐらいの頻度で与えます

肥食いといっても,一度に固形肥料を大量に与えるようなことは避けます.

 

日照

日照はやや強めにします.とくに朝のうちは直射日光,日中は遮光下となる場所がよいです.遮光率を低くする場合は風通しをよくして葉焼けしないように注意します.うちでは絶え間なく空気が動くような環境で20%遮光にしています.

暗いところでも十分育ちますが,葉が間延びしてしまい本種本来のコンパクトな姿を楽しむことは難しくなります.

 

置き場所

上記した日照条件に加え,とにかく風通しです.空気が動けば根もとの水分が長時間停滞することはなくなりますから根ぐされの予防にもなります.

 

冬越し

冬でも15度C〜25度Cの室温が確保できるようなら成長を続けるでしょう.むしろ暑い夏よりもこのぐらいの気温の方が活発に成長します.

活発に成長を続ける場合は施肥,潅水とも通常通り与えて構いません.日照は直射日光〜強めに.

最低室温が10度C以下の場合,潅水を控えめにし休眠させます.葉水をこまめに与えると良いでしょう.

最低室温が0〜5度C程度の場合,潅水はほとんど行いません.1ヶ月に1,2回,よく晴れた日の午前中にお湿り程度の潅水をします.

 

手入れ うまく育てると10〜15枚ほどの胞子葉をつけるようになります.ですが,風通しを良くし害虫を防ぐため,また株の消耗を軽減するためにも古い胞子葉を取り除くと良いでしょう.そのままでも管理が良ければぜんぜん問題はないのですが,私は伸長しきった胞子葉が5,6枚ぐらいついている状態の方が良いと思っています.

栽培の記録
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