チーム | 1 | 2 | 3 | 延長 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
古 河 | 2 | 1 | 1 | 1 | 5 |
西 武 | 1 | 2 | 1 | 0 | 4 |
夕日を受けて、いっそう赤みを帯びた木の葉を巻き上げ、電工リンクへ向かう 僕の運転する車だけが、いつもの裏道を走っている。頭の中では、紅の葉が、 古河電工ジャージ、ゴール時に点灯するランプと共にシンクロし、快い眠気を 誘うのでした。って危ないじゃないかっ!
ということで始まりました、日本アイスホッケーリーグ・前期日光シリーズ最 終日のレポートです。
昨日よりも速く着いたのに、今日もリンク駐車場は満車。リンクの入り口では、 "シカ"と"古河チアガール"がスカイA の撮影を受けていました。
試合前練習は、昨日に引き続き西武側を見ました。やっぱり西武のやり方には エッジがあるなと感じながら、それでも「古河の選手達は疲れていまいか」と 心配し、反対側を眺めてしまうのでした。しかし、西武の練習を見てからの古 河側の練習は、いつもより少しメリハリが足りないように見えます。難易度が 高ければ良い練習という訳ではありませんが、その辺のことも練習の見方に影 響していたのかもしれません。古河側で、長時間ゴールの前に構えていたのは 八巻、一方加藤はというと、センターライン付近でずっとイモオの調子を観察 している様子でした。結局、この試合でゴールを守ることになったのは八巻で した。
1ピリ、初めから西武が押し気味で、古河はなかなか前に出られません。対西 武戦の 2日目ではいつもそうなのですが、古河の動きが完全に読まれています。 今年の古河には、いくつかの特徴的なパターンがあるので、それが解読されて いるのでしょう。ですが、もちろん西武側にもパターンはあります。例えば、 誰でも分かる西武の攻撃パターンのひとつとして、
「DFが、パックをアタッキングゾーンまで持ってきたら、リンクのコーナー目 がけて打ち出し、落ちたところをFWが拾ってゴール前にだし、キーパーとの接 近戦に持ち込む。」
といったようなものがあります。これに対して古河は、
などの対処方を考えているのでしょうが、それらしき行動がはっきり出ていな いように思えました。西武はFWのフォアチェックがものすごく、それでいて「 戻るべき時には、しっかりと戻っている」ということが出来ているので、脚力 の差が、互いのパターンに対応できるかできないかに関わる重要な要素になっ ているかもしれません。古河のリバウンド対策については、昨日に比べれば格 段に改善されていたようです。実際 1ピリの 2得点は、ゴール前接近戦とそれ に伴うリバウンドでの得点でした。また、古河 1失点は、DFが負けてしまった ことによるものが大きいと思います。
- 妨害してパックを打ち出させない。
- パックの落ちた所に西武FWを行かせない。
- ゴール前のDFをカタくする。
1ピリ終了後、苫小牧で行われている雪印ー新王子の試合にて、「 1ピリ終了 現在 3対 0で雪印優勢」との放送があり、僕はたまたま居合わせた Pythonsの ナベさんと顔を合わせて、「ヤバイよ」と古河の前期 4位の座を心配しました。
2ピリでは、古河外国人選手、ラディック・ガルドンの力をまざまざと見せつ けられたような気がします。彼の落ち着いた状況判断力にはとても驚かされま した。普通、日本人選手ならキーパー前でシュートが無理と分かると、フォロ ーに来た人にパックをパスしてしまいがちですが、ガルドンは西武 DF FW が 後ろに来ていながら、キーパー、イモオの直前でフェイントをかけ、キーパー の体勢を崩したところで、シュートするのです。イメージとしては簡単なこと ですが、分かっていながらなかなか実行して決まるものではありません。その ほかに目立ったことは、キーパー、八巻が、パックを" ポロッ "とゴール前に 落としてしまうことです。したがって、西武にリバウンドを狙われることが多 く、2ピリの失点の原因は、このあたりにあると考えられます。
3ピリ。 2ピリに引き続き、古河DFが西武FWに抜かれることが多く、八巻と西 武FWの 1対 1の勝負となることが 2,3度ありました。ここでは八巻も焦らずに よくセーブ出来ていたと思います。逆に、西武 FW DFが上がっている時に、古 河DFがパックをブルーから出し、イモオとの勝負になることも多くありました が、残念ながら得点となることはありませんでした。DFやFWに疲れが見えて来 た古河は、西武に例のパターンを巧みに使われながら、徐々に守備の範囲をせ ばめられ、西武逆転のシュートを決められてしまいました。
タイムアウトの後、19分30秒には、村上(R)・ガルドン(C)ら最強メンバーを投 入し、八巻を上げての 6人での攻撃。「ブルーからパックを出すな」という願 いはなかなか届かず、何度もディフェンディングゾーンに戻ってしまったが、 それでも得点をあきらめないプレーが選手全員に感じられ、パックを粘り強く ゴール前に持って行こうとする気持ちが一つ一つの動きに込められていました。 だれもがこれまでかと思った瞬間、奇跡が起こりました!! 試合終了、わずか 1秒前、ガルドンからのアシストを得たマードルが同点シュートを決めたので す。
延長は、今年の古河が得意とするものです。21日には西武との延長戦で勝利を 手にしたこともあり、選手達もカンジをつかんでいるはず、とナベさんと共に かなり期待をしていました。ここでは、疲れているにも関わらずDFの動きが非 常によく、何度もパックをゴール前に持ち込まれながら、キーパー八巻も体を 張ってゴールを守っていました。なかなかシュートのチャンスをつかめなかっ たが、数少ないゴール前のプレーでは、リバウンドをのがすまいとする激しい アタックが見られました。 1分19秒、ゴール前に陣取っていた高橋淳一が、外 久保からのパスを押し込み勝負を決めました。
ベンチにいた古河選手達はリンクに飛び出し、全身でこの勝利を喜んでいまし た。電工リンクは、ファンがフェンスをたたく音と、悲鳴とも受け取れる歓声 とでリンク全体、さらには足下にも揺れを感じるほどでした。ナベさんも僕も 飛び上がっての叫び!!! クレインズ戦逆転劇にも勝る、今までにない最高に興 奮した瞬間でした。選手達と会場にあふれんばかりのファンが一同に万歳三唱。 選手が控え室に戻り始めた頃には、村上ーガルドンのコンビが肩を組みリンク を周回して歓声をまくしたてていました。
日本アイスホッケーリーグ会場にウェーブが起こる日も間近か!!
前期の地元最終戦をこれまでにない演出で盛り上げてくれた古河電工全選手に 拍手! 勝利の味をしめただけに残る試合にも期待したいですね。
翌日の下野新聞、スポーツ欄1面には、
「古河、西武に奇跡の逆転」
というタイトルで、その 3分の 1ほどもある大きさの記事が取り上げられてい ました。高橋淳一選手や、池田監督のコメントもあり、24年ぶりの快挙になる か、と紙面をにぎわせていました。
ガンバレ古河!
シカの得点 68点