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中禅寺ク3度目の栄冠

6−1レッドウィングス下す


国体アイスホッケー成年予選 第52回冬季国体アイスホッケー競技会成年県予選会最終日は21日夜、日光市の古河電工リンクで中禅寺クラブレッド−ウィングスの決勝を行い、中禅寺クラブが6−1でレッドウィングスを下し3年ぶり3度目の優勝を飾った。

中禅寺クラブは第1ピリオド10分8秒、福田智のアシストを得た永田大介が先制点をゲットし主導権を握った。その後も根本義治が2ゴール、永田がハットトリックを決めるなど計6点を奪い圧勝。レッドウィングスは再三のパワープレーを得点に結びつけられず、吉田学の1点のみに終わった。

決勝戦
         1 2 3 合計
中禅寺クラブ   1 3 2  6
レッドウィングス 0 0 1  1
得点者
【中】
 永田(福田智)(なし)(日向野)
 根本(浜田)(浜田)
 福田智(なし)
【レ】
 吉田(なし)


【評】
ゲームの組立の違いから、思わぬ大差が付いた。中禅寺クラブは脚力を生かしパックへの集散が早く、チャンスを確実に生かした。

中禅寺は第1ピリオド10分8秒、福田智のアシストを得た永田が先制のゴール。第2ピリオドには3分、9分過ぎに永田がこぼれ球、そしてパスをうまく合わせハットトリックを達成。さらに15分31秒には根本がセンターから鋭いシュートを放ち、4−0。このピリオドで早々と勝負を決めた。得点感覚、ゲーム勘でも一枚上だった。

レッドウィングスは元気がなかった。最終ピリオドにエース吉田が単独で運び、GKとの1対1を判断よくゲット。完封を逃れたが、数多くの好機を生かせなかった。特に第2ピリオドには5−3のパワープレーで無得点。個人技、パワーはあったが単独で狙いに生き、次々につぶされた。

戦力向上で鼻息荒く
伝統のクラブチーム、中禅寺クラブの戦力が格段に上がった。これまでの選手に加え、大学を卒業して戻ってきた選手が多く岩崎一志監督は「当分はうちの天下かな」と鼻息が荒い。

今年の日光杉並木国体のメンバーを5選手擁する。この日は、主力の小茂田聖一、小平忠の2選手を欠きながらチームワークで圧勝した。同監督は「このチームは守りが堅いから失点が計算できる。各選手が自分は何をやればいいのか分かっている」とも話す。

チーム全員が同じ小、中学校。住まいも近所同士で一を知れば十を知る仲でもある。今年から国体強化クラブの指定も受け目下、絶好調だ。

新人迎え明るい氷上
「実力の差。決め手を欠いてしまいました」。言葉とは裏腹にレッドウィングス・田中和義監督の表情は明るかった。チーム最大の悩みは選手の高齢化。今期はフォワードに中大出身の吉田学、ディフェンスに日大出身の阿部修一が加入。二人の「大型新人」(田中監督)が活性剤となり、チームは快進撃。この日は敗れたものの、吉田が0−6で迎えた第3ピリオド10分、「完封だけは許したくなかった」と執念のゴール。"ヤングパワー"で一矢で報いたからだ。

来春も、2,3人の進入選手の加入が内定。「もっと点差がつくと思っていた。今年これだけの試合ができればね」。明るい兆しに田中監督のほおも緩んだ。

焦点
選抜チーム強化 本腰を
「選抜チームで強化訓練を徹底しないと本番の国体で痛い目に遭う」。決勝を視察した県アイスホッケー連盟役員は口をそろえた。

今年の日光杉並木国体では本県の成年、少年ともに準優勝を飾り、初の総合優勝を勝ち取った。それだけに、「翌年の大会で恥ずかしい成績は出せない」(千葉哲夫県アイスホッケー連盟理事長)が本音だ。国体全競技の中でアイスホッケーが本県んのポイントゲッターとのプライドもある。

しかし、現実には厳しいものがある。例年、戦力となっている日本リーグ古河電工からの新たな"引退選手"は該当者がなく、学生も今回はユニバーシアードを控え、トップ選手の動向は分からない。昨シーズンは古河の転勤組にも出場を依頼したほか、東京の大学生も試験にぶつかっても、開催地が日光だったため、とんぼ返りで大会に臨めた。

今回は県予選を例年より半月以上早く開催。意図は早めに本県選抜チームを編成し、氷上練習を多く積むことにある。入江淳夫強化部長は「選考が難しい。学生が主体になるかもしれないが、社会人には核になってほしい」。

本県のお家芸のアイスホッケー。苦しい台所事情のときこそ真価は問われる。
(桧村 敏夫)

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土屋 明仁(つちや あきひと) ME akihito@j.dendai.ac.jp