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IH日本リーグ 古河の実力検証
力の差紙一重だが・・・
明暗分けた対雪印戦
アイスホッケーの第31回日本リーグは8日、プレーオフを含めた全日程を終了した。結果は西部鉄道が連覇、地元期待の古河電工は8勝2分け20敗(勝ち点18)の最下位(6位)に終わった。古河は昨季24シーズンぶりの4位をゲット。今期も4位以上を確保し、プレーオフ進出とAクラス(3位以上)を狙ったが、残念ながら目標には届かなかった。果たしてプレーオフには力不足だったのか。今シーズンの戦いの中から古河の実力を検証してみた。
少ない失点捕らえぬ得点
今期、古河は総得点71(1試合当たり2.36点)に対し総失点は110(同3.66点)で、得失点差はマイナス39。総得点71こそリーグ最下位だが、失点だけで比較すれば優勝した西武の102に次ぐ4位となっている。得失点差でも4位・雪印のマイナス38とわずか1差にすぎない。
大躍進を遂げた昨季は、1ゲーム当たりの得点は3.07点で失点は4.57点。昨シーズンは前、後期制で今シーズンより10ゲーム多い全40試合。単純に比較はできないものの、得点力はダウンしたが、逆に失点は少なくなっており、全体としてみれば、前回とそん色のない数字を残している。
それにしても今期1試合当たり2.36得点はいかにも低い。せっかく3点に押さえても2点しかとれないのでは元も子もない。例年いわれることだがやはり、決定力の向上が上位進出を果たすための最大の課題だ。
4位でプレーオフ進出を果たした雪印は10勝2分け18敗。古河より勝ち星で2つ上回った。この2勝の差は何なのか。真っ先に考えられるのは古河が勝負どころで痛い星を落としたこと。3勝6敗で迎えた10月9日からの地元日光での3試合。ほぼ横並びでし烈な4位争いを展開中の日本製紙、雪印相手に勝ち星なしの1分け2敗で終わる。その結果、特に雪印を走らせることになった。
2勝1敗で乗り切れたゲームだった。日本製紙戦は常に先手を取りながら追いつかれ、延長の末に3−4と逆転負け。雪印との連戦も初戦こそ1−4といいところがなかったが、第2戦は2−0とリードしながら、第3ピリオドに同点とされ、引き分けに持ち込まれた。もしここで2勝していれば、プレーオフにこまを進めたのは古河だったのではないだろうか。
選手個々人を見ても新人GK・春名真仁が台頭した。ベテラン加藤茂の故障などでスタメン入り。184センチの身長と長い手足を生かした広範囲のディフェンスで、ファインセーブを連発した。平均失点3.03はコクドの二瓶、岩崎、王子の相沢、平野に次ぐ第5位。はるかに攻撃力に勝る西部、王子、コクドを相手にしてこの成績は立派。
FWでも入江孝明が復活、チーム最多の12ゴールを奪った。問題の3試合。日本製紙戦からの負傷欠場がなければ、明暗を分けた雪印との連戦も違った結果になったかもしれない。
プレーオフに出る実力はあったといえる。今期は成績こそ最下位だが、4位までは紙一重の差だ。古河は強豪コクドに3勝3敗と五分の成績を残すなど意地も見せた。逆説的になるかもしれないが、古河が確実に力を付けていることを証明したシーズンでもあった。
池田正幸監督の話
チームの力は確実に上がっている。コクドに五分の星を残すなど、ゲーム内容自体は昨季以上だと思う。ただ、勝負どころで主力選手の故障に泣かされた。入江孝、外久保といったポイントゲッターの戦力離脱は実に痛かった。万全の布陣で戦えたらと思うと残念だが、逆にそれでもこれだけ戦えたという手応えも感じている。
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土屋 明仁(つちや あきひと)
akihito@j.dendai.ac.jp