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日光連続制覇ならず

埼玉栄に1−2惜敗


関東高校アイスホッケー 第5回関東高校アイスホッケー競技選手権大会最終日は15日、日光市の霧降アイスアリーナで決勝を行い、2年連続4度目の優勝を狙った日光は、埼玉栄(埼玉)に1−2で敗れた。埼玉栄は初優勝。3位決定戦は水戸短大付(茨城)が50−0で日大鶴ヶ丘(東京)を下した。

日光は第1,2ピリオドに1点づつ失点。第2ピリオド12分22秒、森一行のシュートで1点を返したが、以後得点を奪えなかった。第3ピリオドにはパワープレーなどで再三、埼玉栄ゴールを襲ったが、堅守に阻まれ地元優勝を飾れなかった。

◇決勝

       1 2 3 合計
埼玉栄(埼玉)1 1 0  2
日光     0 1 0  1

得点者
【埼】
千葉(なし)(西城)

【日】
森(森田、門馬)

【評】
チャンスが再三ありながら得点できない日光。ディフェンス力は評価できるが、埼玉栄の総合力が完全に一枚上だった。

日光は第1ピリオド、リズムをつかみかけながら失点した。18分26秒、不用意なパスをインターセプトされ、単独で運ばれゴールを許した。第2ピリオド3分過ぎにはキルプレーから手痛い失点を浴びた。唯一得点したのは、第2ピリオド12分22秒。森が運んだ後、ゴール前の混戦から森田、門馬のダブルアシストを得て、森がネットを揺るがした。

得点機はたくさんあった。反則からのペナルティーショットや、第3ピリオドには5−3,5−4のパワープレーがありながら攻めあぐんだ。同点、そして逆転すべきところで、きちっとしたプレーができなかったのが惜しまれた。総シュート数は埼玉栄の33に対して日光は48と大きくリード。総シュート数の一割が得点というのが一般的で、いかに最終ラインの詰めが甘いか、一目りょう然だった。

◇3位決定戦

          1  2  3 合計
水戸短大付(茨城)14 12 24 50
日大鶴ヶ丘(東京) 0  0  0  0



本大会出場今市果たせず
アイスホッケーの全国高校総体関東ブロック予選は14,15の両日日光市の霧降アイスアリーナでリーグ戦を行い、本県の今市は1勝1敗で2位に終わり、4年ぶりの本大会出場はならなかった。

初戦を4−1と快勝した今市は、2戦目で日大鶴ヶ丘(東京)と対戦したが、立ち上がりの第1ピリオドに4点を奪われ、波に乗りきれなかった。第1,2ピリオドにそれぞれ1点を返し、粘りを見せたが力つきた。

◇リーグ戦
         1 2 3 合計
今市       1 1 2  4
慶応(神奈川)  0 1 0  1

日大鶴ヶ丘(東京)4 1 0  5
今市       1 1 0  2

立ち上がり突かれる
今市は立ち上がりの硬さを突かれ、涙をのんだ。

勝てばインターハイ出場。選手たちも緊張からか本来の動きが見られなかった。相手FWのスピードについていけず、第1ピリオド5分に先制ゴールを奪われ、12分、13分には立て続けに決められた。

第2,3ピリオドはGK・鶴見元気を中心とした粘りのDFを見せただけに、田多井安曇監督も「第1ピリオドがすべてでした。先制点を奪いたかったんだが・・・」と肩を落としていた。



スポット
初優勝した埼玉栄の喜びようは半端ではなかった。スティックをほうり投げ、歓喜の輪が幾重にも広がった。日光の選手たちは、そのシーンをぼう然と見守るしかなかった。

関東はもちろん、本州の雄として長年、君臨してきた名門・日光。しかし、勢力図は確実に変わってきているようだ。優勝した埼玉栄は北海道出身の選手が13人おり、2セットを組む。日光地区からも3選手が入部。埼玉の中学にアイスホッケーの土壌はないが、他県からの優秀選手を集め、戦力のアップが著しい。第2回覇者の水戸短大府も同様だ。

日光は今シーズンに入ってから、埼玉栄と練習試合を含め2戦し2敗。今後のためにも負けられない一戦だった。ベテランの域に達した日光・高久竜也監督は冷静に分析した。「ロースコアの戦いと読んで辛抱しろと言い続けた。だから守りは及第点だが、攻撃面でミスが多すぎた」

同点、勝ち越し機は何度もあった。目の肥えたスタンドのファンが首をかしげたのは、5−3のパワープレーのチャンス。1選手が捨て身で相手選手を誘えば、簡単に得点できる場面だが、ズルズルと2分間プレー。監督、コーチともに反省点、不満点の一番手に挙げた。

日光地区出身者だけでのチーム作りを余儀なくされる同校。例年、一定レベルの戦力を保つのは、難題でもある。その面では近くの埼玉栄は「対北海道戦に向け勝負勘、戦力を付ける意味でいいライバル」(高久監督)という。

平田三元主将は「この悔しさを練習にぶつけ、決定力をつけたい」と言い切る。本番のインターハイまで1ヶ月余り。得点力アップなど課題は多く、地元の期待度も大きい。伝統の合い言葉「打倒・北海道」を空念仏にしたくない。
(枝村 敏夫)

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土屋 明仁(つちや あきひと) ME akihito@j.dendai.ac.jp