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止まらぬ県外流出
県内中学スポーツ選手
全国を舞台にと...
選手流出―。県内中学スポーツ選手の県外へ進学するケースが今春も際立った。「全国を舞台に活躍できるところへ」と、野球、サッカーをはじめ卓球、アイスホッケーなどの選手達が新天地へと巣立っていった。県中学体育連盟は毎年、県内に進学する選手に限り有望選手として賞を贈り引き止めを図る一方、強化委員会で進路状況を調べるなど対策を講じている。しかし、進路の選択は最後は本人と保護者の意志の問題でもあり、今のところ打開策は見当たらない。
今年の主だった選手の進路状況は、野球で全国大会3位に入った鹿沼西中の補手が花咲徳栄高(埼玉)に。昨年、流出がゼロだったサッカー。今年は関東大会で3位に入った小山3中から3選手が名門・帝京高(東京)に進んだ。競技人口減少がささやかれているアイスホッケーでも、全国3位になった日光中から2選手が埼玉栄(埼玉)へと、いずれも首都圏の高校に進学した。
剣道は県外流出が年々増加減少にあり、男子は一昨年の全国大会で優勝を飾った小山三中のメンバー2選手が桐?学園高(神奈川)、高輪高(東京)女子の県チャンピョンは左沢高(山形)に進み、成徳学園高(東京)にも2選手が進んだ。
卓球界では小学生から”留学”が目立っており、これまで大阪、愛知、岐阜などの強豪中学に進学。先ごろアトランタ五輪代表に選ばれた、田崎俊雄(宇都宮出身)は陽東中から埼玉の中学に転校したした経歴を持っていた。今春も宇都宮市内の中学から男子3年生が、愛工大付属中(愛知)に移っていった。
高校進学も卓球県チャンピョン(男子)が愛工大名電高(愛知)、真岡市内の男子中学生も仙台育英高(宮城)に進んだ。関係者は「県内だと全日本でもトップになれない。強豪中学で活躍すると、高校、大学進学への道が開かれる」と県外流出の増加傾向を分析する。
こうした状況に、手塚操県中体連会長(宇都宮市陽南中校長)は「各競技団体にお願いし、ここ数年は県外に行く選手は数字的には減少しているはず。それでも、個人的に保護者と県外の高校の間で接触があり、最後は本人の意志を尊重するしかない。中学、高校間で連係し、指導力を強めていかなくては」と話す。
競技によっては、逆に他県から本県の高校の門をたたく選手もいる。スポーツ留学する選手は「選手として身を立てたい。できるだけいい環境で練習し好成績を挙げたい」と真剣だ。中学有望選手の県外へ流出は、県内スポーツのレベル低下につながるだけに、各競技力の向上、指導者育成、魅力ある学校づくりなど、早急な対応策が迫られている。
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土屋 明仁(つちや あきひと)
akihito@j.dendai.ac.jp