オーストラリア東部の限られた地域に分布するビカクシダです.自生地は開けた乾燥森林で,オアシスのような水辺の岩などに着生しています.P.veitchiiの特徴は,なんといってもその白さ.この白さは全身をおおうように密生する星状毛によるものです.姿形のほうを見てみると,こんどは剣のように鋭い切れ込みを持つ貯水葉と上に向ってまっすぐに伸びる胞子葉が印象的です.貯水葉は上端が何箇所も細く深く切れ込み,群生株ではまるで剣山のようになります.胞子葉も細く,1〜2回ほど2分岐して太陽の方に向って真っ直ぐに立ちあがります.
星状毛によって日光を反射し体温上昇と水分蒸散を防ぎ,また,葉を細くし太陽に向かって葉をのばし日光が当たる面積を小さくすることでも体温の上昇と水分の蒸散を防いでいます.さらに本種は不定芽で子株を盛んに出して繁殖しますが,群生株では根元が貯水葉できっちりと固められて,根元から水分が失われることも防いでいると考えることができます.このように全ての器官を徹底的に乾燥した気候に適応させて過酷な環境の中でも生きぬこうとする姿には生命の力強さを感じずにはいられません.
ビーチーは鑑賞価値も高く,またサイズも比較的小型なので勧めの品種なのですが,本来のキリッとしまった姿を実現するには恵まれた日照が絶対に必要となります.都市部,市街地の住宅環境でこの条件をクリアするのは意外に難しいものです.
全身の色合いを形容し,海外ではよく“Silver Staghorm”と呼ばれています.
購入理由
白い葉っぱと全体的につんつんした感じがとても魅力的でずっと気になっていました.ビーチーなんて売られてるのほとんど見かけたことなかったし,迷わず購入決定.
購入にあたって注意したこと
お店はぜったい日のあたることのないような場所なのですが,仕入れて間もないのか徒長もしていないし葉も落ちていませんでした. 抜群に健康な状態.でもすごい群生株になっていて「これはどうしたものか」としばし悩むも..., ウィリンキーと同じくめったにお目にかかれないビーチーだし,一塊しかなかったのでやっぱり購入決定でした.
(春〜秋の成長期)ヘゴにミズゴケで付けてある場合は上部のミズゴケではなく下部のミズゴケの状態を見ます.水が下がるので上の方のミズゴケが乾いても中はぐしょぐしょってこともあるからです.
下部のミズゴケ表面が乾いたらたっぷりと,表面だけでなく中まで十分に水が行き渡るように与えます.十分に水分を浸透させないと水不足で次第に葉(株)が小さくなってしまいます.また,水分が不足すると葉焼けしやすくなったりもします.
(冬とかの休眠中)ミズゴケが十分に乾燥し,ビカクの貯水葉がしおれ始める直前に,ミズゴケが十分水を含むぐらいたっぷりと潅水しています.ちなみにうちは最低温度13,4度Cあります.
5度Cぐらいのときは葉がしおれてから潅水.
成長期には1ヶ月1度ぐらいの頻度で発酵油粕団子のような固形肥料を与えます.薄めの液肥を回数多く与えるよりも,固形肥料を与えた方が機嫌が良いように思います.
固形肥料を与える場合は茶色の貯水葉の後に詰め込み,潅水のたびに肥料分が溶け出すようにしてあげます.液肥を与える場合は,3000〜4000倍に薄めたもの潅水代わり,もしくは潅水2,3回のうち1回ぐらいの頻度で与えます
日照は強めにします.植物が慣れてくれれば終日直射日光もOKです.我が家では正午まで直射日光.その後3時ぐらいまでは20%遮光です.日照を強くする場合は風通しをよくし根元が極端に乾燥しないように注意して,日焼けしないよう注意します.うちでは絶え間なく空気が動くような環境で20%遮光にしています.
暗いところでも十分育ちますが,葉が間延びしてしまい本種本来のキリッとした姿を楽しむことは難しくなります.
とにかく日照と風通しです.
冬でも15度C〜25度Cの室温が確保できるようなら成長を続けるでしょう.むしろ暑い夏よりもこのぐらいの気温の方が活発に成長します.
活発に成長を続ける場合は施肥,潅水とも通常通り与えて構いません.日照は直射日光〜強めに.
最低室温が10度C以下の場合,潅水を控えめにし休眠させます.葉水をこまめに与えると良いでしょう.
最低室温が0〜5度C程度の場合,潅水はほとんど行いません.1ヶ月に1,2回,よく晴れた日の午前中にお湿り程度の潅水をします.
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