胞子をまいてみた!

導入:2000年3月

ビカクシダの胞子を播いてみました.いままでに胞子からしだを育ててみたことがなかったのでどうして良いのか分からなかったのですが,メーリングリストでその方法を教えてもらいさっそく実践してみたのです.


用意するもの
  • 容器:タッパー
  • 培地:バーミキュライト
  • みず:汲み置きの水でハイポネックス2000倍溶液を作る
  • そして大切な胞子.

播き方

播き方はいたって簡単.タッパーに水をなじませた用土を2cmほどいれ,そこに用土の3分の1ほどがつかるぐらいの水を入れます.次に用土の上からぱらぱらと胞子(胞子のう?)をふりかけます.この際あまり密に播きすぎないよう注意します.
胞子などを播くときには,カビや菌に注意した方がようらしいのです.ぼくは浴室内を霧吹きしてほこりを落ちつかせて播きました.殺菌はとくに行っていませんがまだ問題はおきていません.そのほかにもシャワーなどで湯気を充満させた中でまくというやりかたもよいそうです.



発芽
発芽するまでには2~3ヶ月ほどかかります.気長に待ちましょう.あ,そうそう,タッパーは蓋をして明るい日陰においてください.直射日光には絶対に当てないようにしましょう.なお,うちでは20度前後の温度を確保しています.

1年後の2000年3月

1年後でこんなに成長してしまいました.ビカクバイブルには「ビカクの胞子繁殖にははむちゃくちゃ時間がかかる」みたいなことが書かれていたのですが...ん?やっぱり鉢上げまでにはまだまだかかりそうかな.写真の胞子体の大きさは1cm前後です.

う~ん.どうもよそ者が入りこんでしまったようです.
いったいその正体は...これもまた楽しみです.
こいつはけっこう成長が早いです.

 

2001年2月18日 2年後の様子です...

ビフルカツムにおいては胞子葉の分岐が見られるほどに大きくなったヤツもでてきました.でも,鉢上げはまだまだ先のようです. ふう,それにしても播種から 2年経つんですね~.どうもこのタッパーの周辺は悠久の時間感覚がとりまいているようです...あぁ~,それにしても園芸を断っていた学生時代の6年間がとても惜しい.唯一の後悔です.たぶん.

 

ビフルカツム(P.bifurcatum)とベッチー(P.veitchii)は成長の速さがほぼ同じで す.エレファントティス(P.elephantotis)はビフルカツム,ベッチーに比べるとかなり遅いです.エレファントティスは前葉体が発生し始めた 時期も遅れていたし,胞子体が発生するまでの期間も長かったのですが,それがこの種の特徴なのかもしれません.ん,胞子の鮮度がわるかったのかな?

“よそ者”はどうやらチャセンシダ(Asplenium trichomanes)だったようです.
ビカクシダの胞子を採取した場所にはチャセンシダが全然見当たらないので,うちにあるチャセンシダの胞子がいつのまにか紛れ込んだのでしょう.こいつはけっこう大きくなっていて,そろそろ鉢上げできそうです.
しっかりと湿度を保って適切な環境を用意してあげると,なんの変哲もないシダでもけっこうきれいに育つんだなぁ.と,このチャセンシダを見ていて思いました.

なぜ 3種類のビカクシダを一緒のタッパーで?
じつは「面白い雑種ができたらいいなぁ」ということなのです.さてどうなることやら.ははは.

 

2001年3月18日 チャセンシダの鉢上げです

こいつはビカクシダの苗よりも成長が早くて,ビカクシダの今後の生育の妨げになる恐れがあったので先に鉢上げすることにしました.苗の乾燥や雑菌の混入が心配だったので,作業は湯気が充満する浴室で.

い ざピンセットでチャセンシダを抜こうとすると,予想通り,根がかなり広範囲に伸びている様子.ビカクシダの苗をあまり動かさないように慎重に根を整理しな がら引きぬきました.チャセンシダの苗は写真のように一株ずつポットに移植し,仕上げに発根促進剤をスプレー(兼潅水).

タッパーの中は湿度ほぼ100%.突然の低湿度の環境にはさらせないので,いちおう袋の中に入れておいて様子を見ることにしました.新しい葉の展開が始まったら袋から出してみる予定です.

と,初の鉢上げ体験なのですがこんなもんでいいんですかね?

 

2001年12月18日

だいぶ前ですがビカクも鉢上げ(?)しました.

タッパーにびっしり生えていた苗はそのまんま今年の夏にほっぽらかしにしていたのですが,あまりにも世話をしなかったためか全ての苗が急に調子を崩してしまい「まさか全滅??」の危機.これはいけませんということで鉢上げ,というかジフィー上げをしました. 手前2塊が Platycerium elephantotis.奥の右側が Platycerium bifurcatum.奥左の何もなさそうに見えるものには実はあるシダの胞子が播かれています.

移植は部屋でピンセットを用いて行いました.けっこう根が張っていたので,根があまり露出しないように気をつけて植えてみました.以後,タッパーに並べて乾燥しすぎないように気をつけていますが,すこぶる調子いいです. でもよく見てみるとちょっと水気がおいみたいです.苔が生えてきてしまっています...

置き場所は室内温室の中の最上段の半日陰部.送風用プロペラ 2機が24時間運転で通風良し.湿度はおそらく75~80%以上は常に確保されています.温度は18~25度C(以上12月現在の様子).

だんだん大きくなってきているのがわかって最近たのしいです.まだ貯水葉と思われるのはない.と思う...

 

2003年3月29日 第1回胞子播き 最終報告です.

3種類の胞子を一つのタッパーに”なんとなく”区切って播いたのでこいつが何者なのかいまいちはっきりしません.とりあえず Platycerium bifurcatum か Platycerium hillii のどっちかです.まだヒリーは持っていないので,これがヒリーだといいなー.でも,これ,ヒリーっぽいんです(胞子葉や貯水葉がヒリー的).希望的観測と いうやつでしょうか.もうすこし大きくならないと分からないです.

ジフィーをミズゴケで巻いてそれをビニールポットに植えました.ポット上部は貯水葉で覆われてしまっているので底の穴から水を吸わせています.もうこのサイズになれば板につけてもOKですね.

第2回胞子播きということで昨年の9月に Platycerium andinum と Platycerium cronarium の胞子を播きました.第1回とは違った方法でやってます.いま前葉体がびっしりと生えそろっているところですが,きっと今年は胞子体がでてきてくれるはず.たのしみです.

でも...恐ろしいことに,意識して胞子を播かなくてもあっちこっちにいつのまにか実生のビカクが生えてきてしまってるんです...

そんななか,手をかけ目をかけここまで育ってくれたビカクシダは,とってもいとおしいです!かわいいかわいい.