プラティケリウム クアドリディコトマム
Platycerium quadridichotomum (Bonap.)Tardieu
クアドリディコトマムはマダガスカル島の北西部に分布するビカクシダです.貯水葉は上に伸びて上端は浅く2,3回切れ込みます.胞子葉は下に垂れ下がり2 回ほど分岐します.胞子葉が2回分岐(ラテン語:dichotoma)して裂片が4つ(ラテン語:quad)になることから "quadridichotomum"が命名されました.
全長は40cm前後なのですが,葉っぱの切れ込み具合や表面の星状毛の様子から,その姿は小さくしたアン ディヌムにそっくりです.スレンダー系な姿です.わりと小型のビカクシダといえます.アフリカ大陸と南アメリカ大陸が大 昔はくっついていたと言っても,マダガスカルとボリビアのずいぶん端っこ同士で,これほど姿の似たビカクシダが存在するというのはとっても不思議な感じが します.
さて,マダガスカル北西部はどんな自然かというと,いわゆるモンスーン気候を少し乾燥気味にしたふうでしかも亜赤道帯気候なのだそうです.
要するに「乾燥気味の熱帯雨林で,雨季と乾季が超ハッキリしたのような気候だ」と言えるでしょうか.
このような気候においては,たいていの植物は乾季の厳しい乾燥から身を守る手段を持ち合わせているものですが,このクアドリディコトマムもまた乾燥に対する防衛手段を持ち合わせています.
なんとなんと,乾季には葉っぱ(胞子葉)をくるくると巻いて休眠してしまうのです!ここで面白いのは,ゼンマイのように葉っぱの先端から
付け根にかけて巻くのではなく(それでも十分面白いですけど),葉の両サイドから葉の中心に向かって(縦に)くるくると巻くのです.最終的に葉はストローのようになりますね.
シナモンスティックの様?なんとも面白い姿です.そして雨季になると,そのくるくるがほどけて元の姿に戻り再び成長を始めるのです.
ここまで積極的に乾燥に耐えようとする種類は,ビカクシダ一族の中でも本種だけといえるかもしれません.なんとも力強い生命力を感じます.
しかしその一方で,このような特殊な性質を持っているということは「この植物はその“特殊な環境”でしか生きられない」と考えられるのではないでしょうか.
本種はあまり栽培されることが少なく,栽培法も栽培下での性質もなんだか良く分かっていません. 私が入手したのは何らかの手段で増やされた苗のようです.組織培養?か胞子播き?か.子株を株分けしたものではありませんでした. 本種は,姿を楽しむというよりは,どうすればうまく栽培できるのかを探ることに楽しみがあるような段階の種類です. もしかしたら,ずっとそんな状態なのかもしれません.いや,探ることを楽しみとするようなシロモノなのかもしれません. ということで,これはもうビカクシダおたくとかコレクター向け.
でもこれは自分が栽培してみないとなんともいえないので.事実,「やってみたら言われているほど難しくないじゃん」といのも少なくないですからね.
※注1 P.madagascarienseはこまやかな世話をして愛情を注ぎ続けないと枯れるような気がします.ということで(?)自分にとってはやっぱり難しい.
3年間の栽培の末,2006年初夏に枯死させてしまいました.原因はたぶん根ぐされです.梅雨明け後のとある日に突然葉が丸まりだし,そのまま永眠...というパターン.たしかに根元の通気性が悪かったような気もします.やっとの思いで入手したクアドリディコトマムだったので非常に残念.けっこうショック.
ところが2006年初夏
アフリカやマダガスカルの植物を取り扱っている海外の多肉植物業者さんを巡回していたらば,大量のクアドリさんが販売リストにアップされているのを発見っ!!! クアドリディコトマムまでがこんなに流出するなんて...マダガスカルの財政もそうとう危機的なのかなぁ,などと思いつつも迷わず購入.
2,3日経ってまたサイトを見てみたら,もうすべての株がSold Out.やっぱりみんな見てるんですねぇ.
前回はコルクにつけて,ミズゴケも悪いものだったのかあとかたもなく崩れていて.通気が悪かったのでしょうか.今回は根元の通気に気をつけてます.
まだ一番いい方法というのは良く分かりません!まだまだ修行中.
成長期: 水たっぷり.新しい葉が成長している時期なら多めの潅水でも大丈夫のようです.貯水葉に水がしみて緑色の一部分が黒ずんでしまうようだとちょっと多すぎでしょう.
休眠期: 水ひかえめ.胞子葉がしおれはじめたら,もしくはしおれはじめるちょっと前ぐらいのタイミングにたっぷり潅水.葉が丸まってしまうほど水分を切ってしまうのはあまりよくないような気がします.ミズゴケが完全に乾いてしまうようなことがないように気をつけましょう.
貯水葉2~3枚,胞子葉2枚の成長が1サイクルです.「胞子葉の成長が終わりしばらく経ったら休眠に入ってもOK」とは考えず,「葉っぱの成長が完了したから無茶な水やりやめよう」「気温が下がってきたら潅水量を減らしてみよう」といった考え方のほうがよいように思います.
施肥
成長期,新しい葉が伸びているようなときには発酵油粕などを与えます.薄めの液肥を潅水代わりに与えるのもよいでしょう.
自生地の写真を見るとけっこう日照があるところに生えていそうです.うちでは木漏れ日程度にしてます.
根ぐされ注意なので風通しがよいところに置きます.ですが,ぎゃくに極端な乾燥に注意します.空中湿度が保たれている環境では胞子葉がながく伸びてなかなか面白い姿になります.
手入れ
とりあえず今のところ栽培技術を模索中.
2005年6月
すごく成長した!
クアドリディコトマムらしいすがたになってきました.
2004年12月25日
この1年で2周りほど大きくなりました.でもいまだにこやつの気持ちがよく分かりません.
購入直後から5月の連休の頃まではとても元気に成長していたのですが,ひとしきり葉っぱが出た後,秋までは完全に休眠してました.きっかり半年間,何をしてもウンともスンとも動きませんでした.気温が下がって涼しくなってきた頃に再び芽が膨らみだし,現在は写真のような貯水葉が育っているところです.
書籍の写真で見たとおり,乾くと胞子葉がストロー状に丸まってました.で,水をやると元に戻る(笑)!とても面白い性質ですねぇ.でも怖い.何回も繰り返しているといつか永眠してしまいそうで・・・
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